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ごあいさつ
院長あいさつ
薄暑の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
2019年4月に吉島病院の院長を拝命いたしまして5年が経過いたしました。就任1年目に来襲したコロナウイルス感染症には大変苦労いたしました。当初は得体の知れないウイルスで重症例や死亡例も多く、まさしく「恐怖」の一言でした。当院では職員の協力を得て2020年4月にコロナ診療を開始いたしましたが、その苦労は半端なきものでした。精神的・肉体的負担が多く、誹謗中傷や病院内での軋轢などもありましたが何とか乗り切ることができ、皆様のお力になれたものと自負しております。2023年5月には5類感染症となりインフルエンザと同等の扱いになりましたが、通年性で感染力が強く、病棟内で発生するとクラスターを生じてしまうため、未だ緊張の中で診療を続けております。また後遺症で悩まれている患者さんも多く、今後も長く付き合っていかねばならないと考えています。
さて現在はコロナウイルス感染症で壊滅的となった本来の医療体制に戻すべく努力をしております。今年度が正真正銘の院長1年生と捉えて気持ちを切り替えて対応していますが、コロナ流行の影響で医療の仕組みが大きく変わりました。まずは人が直接関わらなくても良いシステム作りが検討され、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIが急速に発展しました。今後オンライン診療やオンライン処方などが広く浸透していくものと思います。また一見希薄になった印象ですが、コロナ診療を通じて新たな医療機関別の体制と協力関係が構築されました。SNSだけのつながりでなく、人と人のつながりの重要性も強調され、苦境の中で培った経験を活かしてしっかりとした医療連携を形成していくことが大切と考えます。
高齢化率が進み、人口減少が加速する中、医療環境はさらに厳しくなっています。最も重要な課題は他業種と同様に深刻な人員不足です。働き方改革が叫ばれる中、AIの活用やタスクシフト・タスクシェアで何とか補っていくことになりますが、医療の充実と就業時間の制限のバランスを取ることが大きな命題で、良好な病院運営こそ、質の高い医療が提供できるものと思います。当院は中規模病院としての特徴を生かせる体制を再構築して、地域に根差した優しい病院であるべきと考えております。建物の老朽化が激しく、建て替え問題が喫緊の課題でありますが、将来構想を見据えながら知恵を結集して入念に検討しております。これからも皆様方のお役にたてるべく引き続き粉骨砕身の思いで努力して参りますので、今後ともご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
2024年5月 吉島病院長 山岡 直樹